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ビルゲイツきたる
過去記事:
http://cmumba.blog67.fc2.com/blog-entry-41.html
やはり彼はソフトウェアエンジニアのヒーローであり、CMUでもその人気はすさまじく、3時間前から待ち構えて、たまたま入場券をゲットできた。
講演の中で、ビルゲイツの「マイクロソフト最後の日」というビデオが流されたが、ヒラリークリントン氏、オバマ氏、ジョージ・クルーニー氏をはじめ業界の著名人が沢山でてくる豪華なビデオであった。YoutubeでもUPされているのでまだ見ていなければ必見である。
http://youtube.com/watch?v=3HA4lSUhlbw&feature=related
ちなみに、こちらはその講演の動画付の記事
http://www.wpxi.com/news/15372127/detail.html
講演の中身は、やはり、マイクロソフトよりはゲイツ財団(なんとその規模3兆円の世界最大の慈善財団)につながる話が多く、いかに途上国の生活を向上するか熱をもって話していた。面白かったのは、マイクロソフトでのマネージメントと、財団のマネージメントでは、違うところよりも同じところが多いと語っていたこと。いかに優秀な人を雇うか、いかにゴールにコミットするか、いかに政治的な事柄を扱うか、いかにマーケティングするか。
一代でマイクロソフト帝国を築き上げ、その資本主義のインセンティブの仕組みにより世界一のお金持ちになったビルゲイツ。そして引退後は、世界最大の慈善団体を、ビジネスライクに運営していく。彼はなにより世界はこれからもこの先も必ず良くなっていくと信じていた。
講演後は、全員でstanding ovation。Q&Aの後、講演の最後にCMUからビルゲイツへの贈り物があった。スクリーンに椅子に座った一人の凛とした老人が映し出される。彼は鉄鋼王、アンドリュー・カーネギー。篤志家としても知られ、一代でCarnegie Steelを築き上げて引退後は、カーネギー財団を作り、1900年にはカーネギー技術大学を(後のCMU)設立している。その写真の中で彼が座っている椅子がピカピカに磨き上げられてビルゲイツに贈られた。ビルゲイツの過去と未来をカーネギーに見立てて称える、なんとも粋な計らいだ。
Ken.TはCMUのコミュニティにいることを心から誇りに思い、そして、生のビルゲイツを15m先に見て、間違いなく格好よい人間だと感じて前向きパワーを受け取り、そして、そそくさとクラスに途中から忍び込んだのであった。
Kivaでマイクロファイナンス
Loans that change lives.
Kivaというサイトがあり、そこでは、小額($25から)の融資を途上国の熱意ある人々に無利子で融資することができる。
http://www.kiva.org/app.php
必要融資額、ビジネスの中身、プロフィールなどの詳細な情報を見てあたかも直接融資するような仕組みになっており、融資後も定期的に借主から報告が入る。Kivaとはスワヒリ語で「絆」という意味があるそうだ。
学生の頃、バックパッカーとして弟とカンボジアをまわっていたときに心にひっかかることがあった。観光客向けに、籠に閉じ込められた小鳥を籠から出してあげる権利を売っている店があって、たくさんの観光客が喜んで籠から鳥を出してあげていたのだ。籠から出してあげてもすぐまた籠に閉じ込められるのに、だ。
ちょっと例は極端であったが、そのような一時的で本質的でない支援に比べて、このKivaの支援の仕方は自分の価値観にあっていると感じた。早速、毎月ピンときた人に小額だけれども融資することにした。最初はあの出来事があったカンボジアから。思いのある人を支えることができる素晴らしいモデルだと思う。
知識工作機械
今の専門はソフトウェア工学なのだけど、大学生のときは研究室で、機械を大量に作るための機械、いわゆる工作機械の勉強をしていた。
そこから、興味と機会の赴くままに、大学院で違う研究室に移ってソフトウェアの勉強をし、就職して、基礎研究、経営管理、ソフトウェア・セールス、ソフトウェア技術コンサル、と移ってきた。現在は、MBAを勉強しながら、ソフトウェア工学を勉強している。ソフトウェア工学は、一言でいうと、ソフトウェアをうまく作るための学問である。
「気づき」の話に戻すと、
今やっているのは、ソフトウェアを作るためのソフトウェア(ソフトウェアエンジニアリングツール)の開発である。よく考えてみたら、それって、大学での工作機械(機械を作るための機械)の研究と、分野は違えど同じことなのだ。つまり、なんとなく繋がりは分かっていたのだけど、自分でも言葉にできていなかった関係性が見えてちょっとした気づきだったのだ。
ところで話は変わるが、
ツールというものは非常に大事なものだ。ツールがあってはじめて可能になることがある。漠然とした話だが、工作機械があって産業革命が成り立った。ソフトウェアを開発するツールがあってはじめて複雑なソフトウェアを開発することができる。
そして、この記事のタイトルの知識工作機械とは、知識を生み出すためのツール群だ。英語、インターネット、ソフトウェア(Google、Skypeをはじめとするソフトウェアツール)を駆使することで多国籍のチームで時差を超えてコラボレートできる。それが現在世界で起こっている革命なんだろう。日本ではよく、モノ作りを大切にしなければ、という議論がされるが、そのときのモノというのは、感覚的に車や産業機械のような形のあるモノ限定の話が多い気がする。でももう、そのモノだけに限定していては古いんだろう。そのモノは、今の世代、次の世代のモノも考えなければならず、そのモノ作りを支えるツール(インフラストラクチャ)を作ることにこそ頑張らなければならないのだ。
マイクロソフトとヤフーの合併話2
http://cmumba.blog67.fc2.com/blog-entry-222.html
とうとう、マイクロソフトが約62%上乗せの市場価格($44.6B=約5兆円)でヤフーを買収することを提案しており、本格的に腰をあげた感がある。
http://online.wsj.com/article/SB120186587368234937.html?mod=sphere_ts
しかし、62%の上乗せ(プレミアム)は尋常ではない。
現在のヤフーの株式価値は$27.5Bである。通常、株式市場はヤフーの成長率も見込んでその株価をつけている。どれだけヤフーが成長することが見込まれていても、それは織り込み済みである。つまり、普通に考えたら、$27.5B以上を払うと損をするのだ。
62%のプレミアムをマイクロソフトが払うというのは、マイクロソフトがヤフーを買収してはじめて産み出される価値(シナジー)が$27.5B*62%=$17B以上存在していると、マイクロソフトが見込んでいるいうことだ。
こういった会社のM&Aによるシナジーの典型的な例は、コスト削減である。たとえば、銀行同士が統合した場合、(サービスの質は落とすことなく)支店を減らすなどで大幅な削減が期待できる。また、別の例として、売り上げ高の向上もあげられる。たとえば、世界規模で販売網を持つ会社が、すばらしい製品を持つが販売網がローカルに限られた小さな会社を買った場合など、その小さな会社単独ではなし得なかった売り上げを達成することができる。そして、一般的には、M&Aによるコスト削減のようなシナジーほうが、売り上げ高の向上などのシナジーよりも成し遂げる確率が高いことが経験上知られている。
話を戻すと、マイクロソフトとヤフーが買収することによるシナジーが$17Bだせるだろうか、としばし考えてしまった。コスト削減だけでも年間$1Bが見込めると記事に書いてあったが、それはかなり眉唾ものに思える。システムの統合に別のコストがいるし、統合して優秀なエンジニアを削ってそれが競合に移動したらもともこもない。確かに、二つの会社の併せたことで売り上げ高は増えるが、それは単純に両社の和でありシナジーではない。シナジーとして実際にどれだけ売り上げ高が増やせるのだろうか。
http://www.reuters.com/article/wtMostRead/idUSWNAS894220080201?pageNumber=3&virtualBrandChannel=10004
また、他の懸念点としては、これまでマイクロソフトはこれほど大きな会社を合併した経験はないし、マイクロソフトとヤフーの会社の文化の違いも気になる。
かといって、マイクロソフトもこのまま静観しているわけにはいかないのが実情だ。Windows、Officeがいつまで安泰かわからない状況である以上、オンライン広告市場でグーグルに遅れをとったままの場所でいるわけにはいかない。
週明けのニュースが楽しみである。